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鳥啼く頃に

短編小説

No.15

愛の証明


「どうして誰もわかってくれないの?」
 ベッドに腰かけているまあくんに話しかける。まあくんはいつも通り、何も話さない。寡黙だけれど、そのまなざしはよく語っている。自分は私のことをわかっているよと。
「みんな私がおかしいって言うの、私は何も悪いことしてないのに、嘘を吐けって言ってくるの」
 まあくんは悲しそうな顔をした。そうだよね。まあくんだって、嘘吐いてほしくないよね。
「やっぱりまあくんもそう思うよね。だからね、私思ったの。嘘なんか吐いてないって、証明をするの」
 まあくんはちょっと困ったように笑った。けど、数秒私が見つめると、だんだん納得したみたいで、真剣な顔になった。
「まあくんも納得してくれるよね……そうだよね、ありがとう。ごめんね」
 まあくんの小さな手を握る。力のない手は握り返すことはなかったけど、そこに拒否の気持ちは感じられなかった。
「来世ではもっと上手くやるからね。そしたらみんなにも祝福されるんだ」
 まあくんをぎゅっと抱きしめて、私は自分の服の裾に火をつけた。
「死ぬまでずっと一緒だよ」


『亡くなったって、本当?』
『そうらしいですよ、焼身自殺ですって』
『怖いわね~、でもあの子、ちょっと変わってたものね。本当におかしくなっちゃったのかしら』
『そうだったんですか? よく知らないんですけど』
『そうなの? あの子、クマのぬいぐるみのことを恋人って言ってたのよ』

#誰文 #誰文2023心中杯


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